限られた桜の中、君に恋をした。


池田屋までの道を歩きながら男の人が私に尋ねる。


「そういえば、まだ名前聞いていませんでしたね」


「あ、羽山実来です」


隣を歩くその人は私の歩幅に合わせて歩くスピードを落とす。


この人、こういう気遣いがサラリと出来る方なんだな。


隣に肩を並べて歩く彼の様子を伺いながらも漠然とそう思った。


「へぇ、実来さんですか」


その人は前を向きながらも少しだけ口角が上がった気がした。


気のせいかな……?