【プロローグ】
その夜、私はいつも通り部屋のベットの上で寝ているはずだった。
目を覚ますとなぜか見知らぬ場所に立っている。
辺りを見渡すと古びた木の壁が奥まで続いていた。
その雰囲気が建物の中にいることだけはわかる。
目の前には上に続く階段があり、その階段にも時代の雰囲気を漂わせた。
「…ここ、どこだろう?」
とりあえず、この場所を離れようと一歩踏み出した時
「お前らそこで止まれっ!全員動くな!!」
突然、鋭い声とともに大勢の人の騒ぎ声が聞こえた。
「……っ」
私はビックリしてその場に崩れ落ちた。
そのすぐ後に金属と金属の擦れるような音が聞こえはじめる。
突然の声に驚いて動けずにいると上から声がした。
「どうして、ここに……」
見上げるとそこには見知らぬ男の人が立っていた。
地味な色の着物に鮮やかな水色の着物を重ねたものを身に包み
薄い茶色の髪に吸い込まれそうな茶色の目をしていて
びっくりするぐらい綺麗な顔立ちをしている。
こんな綺麗な顔立ちした人見たことない。
呆気に取られているとふとその人の腰元に目がいった。
良く見ると男の人の腰には刀がささっている。
びっくりして私は思わず後ずさった。
その時、階段の上から誰かが転がり落ちて来るのが見えた。
「…!?」
恐怖に足がすくんで動けないでいると
男の人は私の腕を引っ張り、立ち上がらせてくれた。
「今すぐここから逃げてくださいっ」
動揺したような声で言われ、
そのまま彼によって建物の外に放り出された。