花見に行った日から1週間後の土曜日のこと。
Mens Love編集部の女性モデルさんと海斗で食事に行くことになった。

仕事上の話をするための食事なのに、海斗は綺麗なモデルさんと食事できるというだけで少し浮かれていた。

「海斗くん、どこのお店にしようか?」
「俺なんでもいいよ。和洋中どれでも」
通りを歩きながら話す2人。

「へえー、好き嫌いないんだねー。えらいなあ。私なんてありすぎて困ってるくらいなのに」
「何がだめなの?」
「うーん、貝類お寿司、生物、カニとか魚も」
「結構あるんだね。円華さんが好きなのでいいよ」
「私、和食がいいな」
「じゃあ、和食のお店にしようか」
「うん」

相手のモデルさんは、海斗より4歳年上の25歳、スリムな眉山。名前は秋月円華。
顔も海斗好みで、おもいっきり鼻の下を伸ばしていた。
「あそこのお店にしようか」
と指をさす。そこは、居酒屋乱という名前のお店だった。

店内は、サラリーマンや男女の若いカップル、女子会をしている若者達で賑わっていた。

店員さんに案内されて、席に着く。
「何頼もうか?」
メニュー表を見ている円華。ミニスカートを履いて脚を組む姿が海斗には色っぽく見えた。

食べたいものが決まり、店員さんに注文する。

ちらりと見えそうで見えない、円華に興奮してきた様子の海斗。脚ばかりが気になる。

「海斗くん!」
「えっ、な、なに?」
「もしかして、私の太腿気になる?」
「いや、別に」

「嘘、気になるけど触りたいって顔に書いてあるよ」
「えっ⁉︎俺はそんなこと」

年上の円華に色仕掛けで攻められて、たじたじになる海斗。

「海斗くんカッコイイのに、なんかウブね」
照れる海斗。

飲み物や料理が揃って。
「じゃ、乾杯しようか?」
「え、なにに?」
「これからの海斗くんの活躍に」
「そんな」

円華はワインを飲み、海斗はビールを飲んでいる。ワインをものの5分で飲み干してしまう。


円華は、焼酎を注文した。
「円華さん、ちょっと飲みすぎ」
「いいじゃない、海斗くんも飲む?」
「俺は、焼酎飲めないよ」

仕事の話できてるのに、これじゃまともに話しできないと困りはてていた。

そして、焼酎の飲みすぎでテーブルに突っ伏してしまった円華。

「あーあ、寝ちゃったよ。円華さん!円華さん、ちょっと飽きて!帰るぞ」
「なんだよー!海斗、好きだー!」
「ちょっと!円華さん、なに言ってんだよ」
近くのお客さんはくすくす笑っている。

まず会計を済ませて、なんとか円華を店の外まで引っ張りだす。

「円華さん、家どこ?」
「あっちー!ヒック!」
「こりゃだめだわ。しょうがねえ俺の家連れてくか」

海斗は最終手段を選んだ。手を挙げてタクシーを待つ。

タクシーに円華を乗せる時、反対側の道路に愛海がいてその様子を見ていた。

「ほら、円華さん!タクシー乗って!」

愛海は海斗の連れの女性が酔っ払っているのが分からなかった。
「あっ!海斗!なんでこんなところにいるの?それも女の人と。今度問い詰めてやるんだから!」
そう思いながら、家路に向かう。