愛海の携帯に久しぶりに来夢から電話がかかってきた。
「もしもし、愛海ちゃん?」
「はい」
「俺、来夢だけど」

「久しぶりだね」
「ああ、今日そっち行っていい?」
「うん、いいよ、私も来夢に会いたい」
「嬉しいよ、そう言ってくれて」
今日は土曜日。

そんな時海斗は愛海の携帯に電話をかけていた。ツーツーツー。話し中で愛海に繋がらない。
あいつ誰と話してんだよ、男と話してたら絶対許さねえ。少しイライラしていた。

1時間後来夢が来た。愛海の部屋のチャイムを鳴らす。
「はーい」
愛海は来夢と分かってたのですぐドアを開けてしまった。

「おっと、いきなり開けちゃだめだよ。変な男だったらどうするの?」
「ごめん、どうぞ」
「お邪魔します」
「コーヒーでいいかな?」
「ああ」
「その辺座って」

来夢は、ソファに座った。
「綺麗にしてるな」
「そうでもないよ」
「中にはいるじゃん、朝の踏み場がないくらいに散らかってる部屋。本当に女の部屋って疑っちゃうよな」
「うん」
「そうそう、片付けられない女ってやつ」

「はい、どうぞ」
「ありがとう」
「コーヒーを飲む来夢。

「うまいな、このコーヒー」
「そう?インスタントコーヒーだけど」
愛海も来夢の隣に座って、コーヒーを飲む。

「愛海ちゃん、綺麗......」
「ぶっ、ゴホゴホ」

コーヒーを飲んでる愛海の横顔を見てでた言葉だった。
「大丈夫?愛海ちゃん」
「うん、急に変なこと言うからむせちゃったよ」
「でも、本当にそう思ってるから」
「あ、ありがとう」

「愛海ちゃん?」
「ん?」
「俺、愛海ちゃん好きだ」
「えっ?」

愛海は来夢をじっと見ていた。
来夢は愛海の唇にキスしようとした。
愛海は、海斗が頭に浮かん浮かび拒んだ。

「愛海ちゃんだめ?」
「え、でも、私...」
「海斗のがいい?俺はチャラいってよく言われるけど」

「海斗は愛情表現沢山してくれる。でも言いすぎていつも私ドキドキしちゃう。来夢が言うと自然でいられるかも」
「愛海ちゃん......」


来夢は、愛海の唇を塞いでしまった。
「ん......来夢......」
来夢はそっと愛海をソファに押し倒した。

「俺もうだめだ、愛海ちゃんに触れたい。いい?」
愛海もいけないと思いながらも、来夢に惹かれていた。

来夢が愛海の肌に触れた時。
愛海の頭の中は海斗でいっぱいになった。

「来夢、待って。私......」
「どうしたの?やっぱり俺とじゃできない?」

「ごめん、海斗が頭から離れてくれない......」
愛海は涙が流れた。
「分かった、それじゃ愛海ちゃん苦しめるだけだもんな」

来夢は愛海を優しく抱きしめた。

「でも、キスだけ、ね?」
「うん......」
触れるだけのキスをした。

「ごめん、海斗がいるのに俺こんなことしちゃって浮気だよね」
「......来夢だけが悪いんじゃないよ」
「えっ?」

「私も、来夢の愛情表現自然でいいなって惹かれてたから。許した私もいけなかったの」
「愛海ちゃん、優しいな。これからも変わらず俺の幼馴染でいてくれるよな?」
「うん、もちろん」

「ちょっとしばらく会うのやめよう。海斗が感づく。あいつ敏感だから」
「そうだね」
「じゃ、俺帰るよ」
「下まで送ってく」
「いいよ、海斗がくるかもしれないから。部屋にいて」
「うん、分かった。またね、来夢」
「ああ、それじゃ」


来夢は自然を装って愛海の部屋を後にした。

来夢は。海斗にばれちゃうかもな、でもあれは愛海ちゃん好きなのは変わらない。この気持ちだけは自信があった。

愛海のマンションから出てきた来夢。近くに海斗がいるとは知らずに。
「来夢!あんた愛海になにした!」
「なにしたって、別に」
「嘘つけ!」

海斗は来夢を睨む。
「本当はどうなんだよ?」
「愛海ちゃんにキスした。それだけだ」

「っ!お前なに考えてんだ!俺のものに手だしやがって」
「愛海ちゃん責めないでよ」

来夢は、何事もなかったように帰って行った。