海を見渡すのにちょうどいい、低い石の壁に腰掛ける。 ただ海を見ているだけで何もしない。 そんな時間が愛おしく感じた。 海って、人をこんな気分にさせるんだ――。 いつも何かをしていないと落ち着かなかった。 でも、何もしなくてもこんなにも心地いい。 ただただ、変って行く空の色を、深くなって行く海の色を見続けた。