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それからほどなくして。

私たちは、東京都内にある古いマンションを借り一緒に暮らし始めた。

私は相変わらず、同じ職場で、つまづいたり葛藤しながらも頑張っている。
名字が変わったこと以外は、特に何も変わらない。

暁さんも、上手く行ったり行かなかったりしながらも、トータルしてみると結構前に進んでいるような気がする。
今では、雑誌の連載を二つも持っているしね。近々、新作も出る。


それに――。誰がなんと言おうと、暁さんの書く物語が私は好きだ。
辛辣な部分もある。苦しい場面もある。でも、その根底に絶対に優しさがある。

『売れない小説家はサイアクだ』が暁さんの口癖だけれど、やっぱり暁さんは書くことが好きなのだ。

そんな暁さんを見ているのが好き。暁さんの書いたものを読むのが好き。


そして、二人で過ごす休日が好き――。



―終わり―