初めてのズル休み



「その気持ちだけで、嬉しい……。だから、私も頑張ります」


少しでも暁さんが納得のいく仕事を出来るように。私だって暁さんの力になりたい。
暁さんをサポートする力が、たとえ小さくても私にもある。


「これ以上、頑張るのか……?」


暁さんが嬉しそうに笑う。


「ええ。私、頑張ることくらいしか取り柄がないので。だから、私がいくらだって暁さんを養ってあげます。その代り、いつの日か必ず、ベストセラー書いてくださいね」


涙を誤魔化したくて冗談ぽくそう言った。


「生意気だ」

「きゃっ」


暁さんが急に私の胸に顔を埋めるものだから、つい悲鳴を上げてしまった。


「くすぐったいですっ。やめてください――」


身体を捩らせる私に、暁さんがぽつりと言った。


「俺の傍にいてくれて、ありがとう」


深い響きを持った言葉。

いつも突然で。

でも、いつだってその言葉に嘘はない。

冗談ぽくても真剣でも。


「……私の方こそ、私の居場所をくれて、ありがとう」


暁さんを胸に抱くように抱きしめた。


――愛してる。


初めてもらったその言葉が胸にじんわりと広がって行く。


私も、愛しています。