夕ご飯も食べないまま――。


ベッドの中で目を覚ました時には、もううっすらと夜が明けようとしていた。


自分の身体の気怠さと、ところどころに残る暁さんの余韻に、急に恥ずかしくなる。


あんなに乱れてしまったのは初めてかもしれない。


毛布を胸元まであげると、自分の頭の下に暁さんの腕があるのに気付いた。


「暁さん……」


横を向けばすぐそこに暁さんの顔があって、慌てて身を引く。

私のベッドは暁さんの家にあるものより小さいシングルベッド。

この密着度は心臓に悪い。

すーすーと、暁さんの寝息が耳に届く。

まだ寝ているのをいいことに、私は暁さんと向き合うように寝返りを打った。


こんなに暁さんの顔を間近でじっくり見るのは久しぶりだ。

目を閉じていても、大人の男だなぁなんて思ってしまう。

見ていれば触れたくなって、そっとその瞼に指を這わせた。


「んん……」


わっ。起こしちゃった……?


慌てて指を引っ込めようとしたけれど、その手首を寝ていたはずの暁さんが素早く掴んだ。

ゆっくりと瞼を開けて、優しい表情で私を見つめてくれる。


「目、覚めたんだ」

「うん……。起こしちゃって、ごめんなさい」


掴まれたままの腕に、またドキドキとする。


「いいよ。ゆかりが起きているなら、俺も起きていたい」


手首をつかんでいないもう片方の暁さんの腕が、私を抱き寄せた。