そうして迎えた金曜日。
この日のために、木曜までに頑張って仕事をした。
運よく急ぎの仕事が突然舞い込んで来ることもなく、定時にあがることが出来た。
逸る気持ちでオフィスのエントランスをくぐる。
その時、スマホがポケットの中で振動した。
”ゆかりのマンションの近くにいる。帰って来たら連絡くれ”
え――? 暁さんから来てくれたの――?
突然暁さんが私の家に来たことなどない。
もうずっと、金曜日の夜には私が暁さんの家に行く――それが決まりごとのようになっていた。
どうして、来てくれたんだろう――。
もう、気持ちは暁さんの元へと向かっていた。



