「俺、偉そうなこと言ってますね。でも、これも俺自身が失敗ばかりしてきたからです。その時の教訓が積み重なりました」


そう言って、瀬崎君はパソコンのキーボードに手を戻していた。


「ううん。ありがとう。なんか、もやもやとしていた心が晴れ渡った気分」


自分の話をしたわけでもない。でも、何かを察したかのようにそんな風に話してくれた瀬崎君に心から感謝していた。


本当の自分の欲求が、シンプルなものになる。
余計で邪魔な感情が削ぎ落とされて、ただ一つに行き着く――。


やっぱり、私は暁さんの傍にいたい。
一緒にいたいんだ。


金曜日になったら、また会いに行こう。
仕事を頑張って、私の想いを伝えに行こう。