私は、誰にも選ばれてこなかったってことか……。


居酒屋の帰り、一人、酔いの回る足で歩きながらそんな卑屈なことを考えてしまった。


『俺は、バスケしか能がない男で。女の扱い方とか知らないし、気の利いたことを言ったりしたり出来ません。そんな俺を、脇目もふらず、信じてそばにいてくれた奴ですから』


少し目の赤くなった瀬崎君がどこか愛おしげに言った。


信じてそばにいる……か。


その言葉が深く私に止まる。

信じるって、どうしてこんなに難しいのだろう。

どうして、多くを求めてしまうのだろう。


暁さん、今、何を思ってますか――。