ーボフッ

「ところで美影さんっ」

日和一家に盛大に歓迎され伊織ちゃんと侑李くんが寝静まったお風呂上がり。

互いに床に寝転がって目を合わせた

「ずばり、宙のこと好き?」

それはどういう意味だろう…でも…うん。

『すき、かな』

「やっぱり!!!」

『でも、そういうのじゃないんだ。』

恋愛感情以上に、もっと、大切なもの。

「じゃあ付き合いたいとかはないのかー。」

『うん』

「いやーたださ、宙って正直格好良いじゃん。なんか謎めいてる雰囲気もさらに魅力的って感じで転校初日から女子のあいだで話題になってたの。」

そうだよね、そうじゃなきゃ可笑しいよ。

本当、私のそばにいるのが不思議だ。

「心配なんだ。」

『ぇ…』

「ただでさえ変な男がよってこないか心配なのに、美影を妬んであのパンダ女達が酷いことしないかとか…。」

だって美影、最近凄く可愛くなったもん。

なんて言って不貞腐れる日和が一番可愛い。

『私そんなに弱くないよ。』

「美影ってやっぱ面白いよね。
なんかあったら私と愉快な仲間たちが絶対許さないから。いつでもいいんさい。」

『うん…でもそれは少し卑怯な気がするから自分で何とかできるように頑張るよ。』

「…いい子すぎて私は心配だぁ」

『家出してるけど?』

なんて言っているともう夜更け。

次第に私たちの瞼も閉じていった。

そう言えばエルはどこに行ったんだろう。

宙は元気かな。

お母さんは三日帰ってこないでって言ってたけどなんでだろう。

お父さんは今頃暴れてるんだろうな…。

でも怖くないや。

『おやすみ』

「おやすみ」

おやすみって言う相手がいることの幸せに自然と頬が緩む。

こんなに幸せな日を、もう二度と過ごせないことも知らずに…。