「んーこうなると残るはふたりだねー。」
私は夕紀くんと顔を見合わせた。
まさかこうなるとはね。
『夕紀くん、これ。』
私がお辞儀しながら渡すと夕紀くんは笑った。
「なんで礼してんだよ。」
『なんとなく、かな?』
「やっぱ変な奴」
私が変人なら彼も結構変人だと思うのだが、置いておこう。
「俺からはこれ。」
それぞれ受け取った小包を開けてみると、綺麗なオルゴールが出てきた。
しかしどうやって鳴らすのか全くわからない。
「夕紀、それってまさか…」
「そのオルゴール、ある人からの預かり物なんだ。」
『え、それってだめなんじゃ…。』
「その人もこうなることを望んでた。」
“その人”とは一体誰のことだろうか。
よくわからないがこのオルゴール、どこかで見た気がする。
「んーよくわかんないけど夕紀は何貰ったの?」
夕紀くんはごそごそと箱を開けて目を一瞬光らせた。
あ、喜んでくれてるのかな?
「うわそれまじかっけぇ!」
架が何故か喜んで夕紀くんを見ている。
「ありがとう」
『…!』
夕紀くんが笑った。
私がプレゼントしたのは黒っぽい銀色のリングのついたネックレスだ。
喜んでくれてよかった…。
「さてさてープレゼント交換が終わったところだしゲームしようぜ!」
「いいねー」
双子はお昼寝するのか少しうとうとしながらうさぎを抱きしめていた。
可愛すぎやしないだろうか。
ふと今まで過ごした冬のことを思い出した。
寒くて凍えそうで……嫌な事が頭をよぎり少し身体が震える。
今は関係ない、あれは過去のこと。
「どした?」
架が心配そうに私を見ていた。
本当に彼は周りをよく見ている。
『ううん、夜に帰る時が寒そうだなって思ったの。』
「確かに!さっきドアを開けた時ですら寒すぎて堪えたもん。」
日和は両手で自分を抱きながらゲーム機を探しに立ち上がった。
「俺あれやってみたい」
夕紀くんもゲーム機を探しに立ち上がる。
意外だなぁ
こうやって新しく出来た友達と冬を過ごすなんて、今まで想像すらできなかったことだ。
幸せを噛み締めながら、私はこのときを楽しんだ。

