ーザッザッザッザッ
凄まじいスピードで野菜みたいなものを刻む音が聞こえて厨房に顔を覗かせた。
ふくよかで優しそうな雰囲気の女性が目を光らせながらたんたんと食材を切っていく様子はとても異様だ。
「……」
『……』
ータンタンタンタンッ
『あ、あの……』
少しおどおどしつつも話しかける、が、全く見向きもしない。
どうやら集中して周りが見えていないらしい。
よしっ
『宙!宙は保管庫から適当に野菜を持ってきて!私は調理場を一通り見てみるわ。』
「わかった!」
さっきおじさんにいろいろ場所とかを教えてもらったから困らなくて済みそうだ。
「取ってきたよ!なんか肉みたいなのさっき買っておいたからそれも置いとくね。」
き、気が利く……
そして早い
『ありがとう!じゃあ宙は適当に時間潰してて』
「んー見てたらだめ?」
『だ、だめじゃない』
そんな目で見ないでよ……。
もう気にしちゃ負けだ!!
髪の毛を結って野菜を見比べる。
本当に見たことないものばっかり……
適当にまず野菜を切って味見をする。
『に、にがっ』
今度は赤っぽいやつを口に運ぶ
『うっ……ぁま』
なんだこんなの本当に食べたことないぞ。
でもこのふたつの野菜を合わせたらいい感じに味が調和されそう。
じゃあこれを煮込んだら……
火を魔法で出してその上に鍋を置く。
水を出し先程切った野菜を入れた。
振り返って料理をしている奥さんを確認する。
並べられた完成品は凄く美味しそう。
もし人間界の料理が役に立つなら嬉しいな。

