ーポタッポタッ
「……み…………げ……美影っ」
「うっげほっげほっ……うっぅげほっ」
水が肺に入っている。
苦しくて涙で視界が歪んでいた。
『宙……?私…』
はっきりしてきた視界にうつったのはどこかしら緑の装飾品をつけた戦士達。
そして目の前にはエリックが申し訳なさそうにしていた。
「ごめん、人間がこんなに脆いなんて……。」
そうだ、あの時水に潜り順調に泳いでいた。
だがなにか瓦礫のようなものが足につっかえてそのまま溺れてしまったのだ。
私は負けた。
重たい体を起こして宙の腕を離れフレンチさんの前に跪く。
『……私の負けです。』
「そうか、では貴女の望みはきけないな。」
『私は……諦めたくありません。』
顔を上げて彼女を見る。
「泣かないのだな。」
『泣いては戦えません。』
彼女のヒールが草を踏む音が聞こえる。
「望みはきかない。が、こちらから頼みがあります。」
頼み……?
「我が部隊に加わりませんか。私達はもうすぐ向かってくる敵を討たなくてはならないのです。但し、私が長ですが。」
『っ……!』
思わず涙がでそうになったが頑張って止める。
なんて優しい人なんだろう。
「失礼ですが、私は最初からエリックに勝てると思っていませんでした。」
『私を……試していたのですか?』
「はい、貴女の戦いっぷりは素晴らしいもので意志の強さを感じさせてもらいました。その姿にここにいるもの全てが心を動かされた。ですが貴女は正直言ってまだまだ未熟、今の間はまだ私が導きます。」
最初から、そのつもりだったの……?
私が皆に頭を下げた時にはもう……?
周りの戦士を見ると暖かい目をしていた。
その視線を受けているのは紛れもなく私だ。
『よ、よろしくお願いしますっ』
再び深く頭を下げた。
エリック、貴方の言っていた通りフレンチさんは素晴らしい人だね。

