夜の人間界に降り立って、赤い屋根の太陽のような少女の家を探す。

君や架は俺達にとって眩しすぎて、近付けたのはきっと少しの夢物語。

そう思うと楽になった。

日和に電話をかけて家の前へ呼び出すと俺達は深呼吸もする間もなく、彼女と出会う。

「伊織っ」

今は夜中、でもきっと、彼女は眠れなかった。

「ごめん……」

夕紀の手から栗毛の少女が奪われると、日和はなんとも言えないほっとした表情になった。

でも直ぐに顔を強ばらせる。

「美影は……?」

俺達は何も言えずに立ち尽くした。

これ程までに恥ずかしいことはない。

女の子一人守れないなんて、守護者として失格だ。

「どうしてって、言ったのに。」

ぽろぽろと目から綺麗な雫を流す彼女を慰める資格なんてない。

「助ける
だから、待ってて。」

「また、待たせるの?ねぇ……待つってすごく辛いことなんだよ。美影を助けなきゃ、本当に絶交だ。」

彼女の泣き声に伊織ちゃんは目を覚ました。

「お姉ちゃん?」

「伊織……」

「なんだか長い夢を見てたの。」

伊織ちゃんは不思議そうに欠伸をして日和の胸を掴む。

その様子を見届けて、俺達はその場を去った。