喉がカラカラに渇くのがわかった。

心だけはどうしようもなく冷えていく。

その様子に口を出せる者などその場にはいなかった。

「どうして」

『……』

いわなければいけないことが沢山ある。

記憶操作をするなんてこと、したくはなかった。

そんなことをしても私達は一生負い目を感じながら関係を持たなくてはならなくなる。

でもどうしても、何から話していいのかわからなかった。

「何かを、隠していることは知ってた。」

震える声で話す彼女から目を離せない。

「いつか言ってくれると信じてた。
そう、夕紀もね。」

日和は真っ直ぐな瞳を“私達”へ向けた。

「あの人はなに?」

これはいいのだろうか。

言ってもいいのだろうか。

言うことによって、日和と架が狙われるなんてことがあるかもしれない。

「どうして…何も言わないの……」

『私達は、人じゃない。』

それだけは、言ってもいいよね。

『何者かは言えない。でも日和達のため「ふっざけんな!!!」っ』

「ふざけんな」

涙を大きな瞳に溜めながら弱々しくもはっきり言った。

「私達のため?自分達のためだよね?
どうしてそんなに勝手なの。どうして大切なことを言ってくれないの。」

彼女の気持ちが、言葉が、

弾丸の如く胸をうつ。

「私達、そんなに頼りない?」

あぁ、どうしてこんなに

こんなに私は周りの人達を傷付けてしまうのだろう。