俺はスマホを手にした。


『もしもし…… 俺だ……』


『駿! 珍しいわね電話してくるなんて……』


『話があるんだ、今いいか?』

『ええ』

『ごめん…… もう、終わりにして欲しいんだ……』

『どういう事?』

 スマホから聞こえる声が、明らかに曇った。


『俺、大阪には戻らない…… 東京の本店で席を決める事にした』


『それなら、私も……』

『ごめん……』


『嫌よ! そんなの勝手よ……』


『すまない…… 全て俺の責任だ……』


 俺はスマホを切った。



 結局、俺が優柔不断で、自分の気持ちから逃げてしまったせいで、亜由美も矢崎も傷付けてしまったんだ……