碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

幾つもの大国がひしめき合う大陸の北部に、フレイア王国は位置している。
王国のシンボルであるフレイア城は、緑の木々が立ち並ぶ森に囲まれた小高い丘の上に建っている。
付近に点在する湖の青と、森の緑、そして石造りの立派な城が生み出す風景は、まるで一枚の水彩画のように美しい。


隣接する大国同士が領土拡大を図り幾度となく戦を繰り返す中、小さな王国は建国以来、中立の立場を貫いている。
その為、これまで大きな戦禍に巻き込まれることもなく、平和に富を築き上げてきた。


肥沃な大地の恵みを受け、秋には農作物が豊穣な実りをもたらす。
王国領土の西の端にある港町では、漁業も盛んだ。
現在の国王の御世においては、近隣諸国のみならず、遠く東洋の国々との交易も積極的に行われ、城下町の市場の店先には見慣れない野菜や果物、珍しい雑貨や置物なども並ぶようになった。


華やぐ城下町には、商人たちが忙しなく行き交い、いつも人々の笑い声が絶えない。
警備の為に巡回に出かける騎士たちも、彼らから報告を受ける国王も、国民の明るい笑顔を守る為に、日々訓練や公務に励んでいた。