(でも大丈夫だ。万が一セディが狼藉を働いても、アデルなら自分の身は自分で守れる。……たとえ王太子をぶん殴ることになっても)
『頼む、妹よ!』とばかり、ライアンは多少の不安はかなぐり捨てた。
「アデル、お前はセディに意志表示するだけでいい。嫌だと言うのなら、すべて隠したままはっきりとお断りしろ」
「お兄様……」
「とにかく、アデル。騎士見習いとして、セディをあのままにしておくわけにいかないのは、お前もわかっているだろう?」
ライアンは、アデルの喉がゴクッと動くのを見た。
きっと彼女は『騎士見習い』という言葉に反応したのだろう。
黙って目を伏せ、そして小さな声で「はい」と答えた。
それを聞いて、ライアンはホッとしながら――。
「……アデル。一応言っておくがな。アシュレー侯爵家の跡取り息子としてだけなら……お前が王太子妃になって、世継ぎ誕生なんてことになったら、安泰どころか憂いの種にしかならないって思ってるのは、変わらないぞ」
そう言って、アデルの頭をポンと叩く。
そのまま部屋を出ようとライアンはドアに向かい……。
「うぐっ……」
強烈な枕の一撃を後頭部に浴び、彼は潰れた蛙のような声を漏らして、前につんのめった。
『頼む、妹よ!』とばかり、ライアンは多少の不安はかなぐり捨てた。
「アデル、お前はセディに意志表示するだけでいい。嫌だと言うのなら、すべて隠したままはっきりとお断りしろ」
「お兄様……」
「とにかく、アデル。騎士見習いとして、セディをあのままにしておくわけにいかないのは、お前もわかっているだろう?」
ライアンは、アデルの喉がゴクッと動くのを見た。
きっと彼女は『騎士見習い』という言葉に反応したのだろう。
黙って目を伏せ、そして小さな声で「はい」と答えた。
それを聞いて、ライアンはホッとしながら――。
「……アデル。一応言っておくがな。アシュレー侯爵家の跡取り息子としてだけなら……お前が王太子妃になって、世継ぎ誕生なんてことになったら、安泰どころか憂いの種にしかならないって思ってるのは、変わらないぞ」
そう言って、アデルの頭をポンと叩く。
そのまま部屋を出ようとライアンはドアに向かい……。
「うぐっ……」
強烈な枕の一撃を後頭部に浴び、彼は潰れた蛙のような声を漏らして、前につんのめった。
