碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

「アデル、お前だってわかってるだろ? セディは本気でお前を……」

「私じゃない! セディが恋焦がれてるのは、仮面で顔を隠した姫君なの!!」


吐き捨てるように叫ぶアデルに、ライアンもグッと言葉をのんだ。
彼が黙るのを見て、アデルがきつく唇を噛む。


「結局……お兄様もお父様たちと同じじゃない」


ライアンが見つめる前で、アデルはズッと鼻を啜った。


「アシュレー侯爵家の為、王家の為って。私の気持ちなんてこれっぽっちも……」

「俺は国王から叙勲を受けた王国騎士団の騎士だ。王家の為を思って何が悪い!!」


アデルの言葉に感情を昂らせたライアンは、声を張ってそう怒鳴った。
それを聞いて、アデルは大きく息をのむ。


「セディは俺の親友だ。そして……いずれはこの国の王となる王太子殿下だ。俺は騎士としてアイツの為に働くことを、誇りに思っている。アデル、お前も女だてらに騎士を目指すくらいなんだ、そのくらいの気持ちはあるだろう!?」


普段は温厚で滅多に声を荒らげない兄から怒声を浴びたアデルは、言葉に詰まった。
美しい瞳に涙を滲ませ、膝の上で蒼白になるほど手を握り締めるアデルを見下ろし、ライアンも心の中で葛藤していた。