碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

「私も、そう思ってた。あの時、セディに気付かれたくないから隠すって言うんじゃなくて、お父様に逆らってでも来なきゃよかった。帰ればよかったって思って……」

「いや、それは違う。アデル。俺は……アデルがドレスでパーティーに出席したことは、間違っていないと思ってる」


ライアンに遮られたアデルが、何度も瞬きをした。
ライアンが何を言おうとしているのか、想像できないのだろう。
アデルは「え?」と聞き返してくる。


「だってそうだろう? お前に会おうが会うまいが……セディはあの姫君たちの中から一人……ないし二人、三人のお妃を、無理にでも決めなきゃならなかったんだ」


アデルもわずかに顔を歪めながら、こくんと頷く。
彼女の反応を確認してから、ライアンはその先を続けた。


「だから俺は、セディがお前と出会って自分の意志でお前に決めたことを、実を言うと喜んでいる」

「……お、お兄様?」

「つまりアデル。俺はセディを応援してやりたい」


そう言ったライアンの脳裏に、先ほどの苦し気なセドリックの表情が過る。


(俺は親友として、セディにあんな顔をさせたくない……!)


そんな強い思いに駆られ、ライアンはアデルの方に大股で歩み寄った。
その迫力に怯むアデルの両手を、はしっと握り締める。


「お、応援って……?」