セドリックが出て行った後、ライアンは散々悩んだ挙句、宿舎内のアデルの部屋を訪ねた。
騎士見習いとは言えアデルは女だから、いくら兄の自分でも、夜更けに訪問するのは、風紀上良くない。
他の騎士に示しがつかないのも困るから、これまではライアンも、余程の用がない限り、アデルの部屋を夜になって訪室するのは控えていた。
わずかに不審気な顔でドアを開けたアデルも、ライアンを見て戸惑いを隠せない様子だった。
それでも、ライアンの顔が切羽詰まって強張っていたせいか、ドア口で用件を質すでもなく、部屋に招き入れてくれた。
とは言え、ライアンはなんと切り出そうかと迷い、アデルの部屋に入っても、黙ったまま窓辺に佇んだ。
アデルもライアンの様子に身構えているのか、用件を急かして促してくることもない。
こんな時間に訪ねておいて、無言のまま時間だけが過ぎるのも、アデルに悪い。
ライアンは緊張しているのを自覚しながら、意を決してアデルを振り返った。
寝台に座り、彼の背を窺うように見ていたアデルが、一瞬肩に力を込めたのが感じられる。
「アデル。セディのことなんだけどさ」
意識して明るく務めたつもりだったが、ライアンは声に滲み出る硬さを隠せていなかった。
騎士見習いとは言えアデルは女だから、いくら兄の自分でも、夜更けに訪問するのは、風紀上良くない。
他の騎士に示しがつかないのも困るから、これまではライアンも、余程の用がない限り、アデルの部屋を夜になって訪室するのは控えていた。
わずかに不審気な顔でドアを開けたアデルも、ライアンを見て戸惑いを隠せない様子だった。
それでも、ライアンの顔が切羽詰まって強張っていたせいか、ドア口で用件を質すでもなく、部屋に招き入れてくれた。
とは言え、ライアンはなんと切り出そうかと迷い、アデルの部屋に入っても、黙ったまま窓辺に佇んだ。
アデルもライアンの様子に身構えているのか、用件を急かして促してくることもない。
こんな時間に訪ねておいて、無言のまま時間だけが過ぎるのも、アデルに悪い。
ライアンは緊張しているのを自覚しながら、意を決してアデルを振り返った。
寝台に座り、彼の背を窺うように見ていたアデルが、一瞬肩に力を込めたのが感じられる。
「アデル。セディのことなんだけどさ」
意識して明るく務めたつもりだったが、ライアンは声に滲み出る硬さを隠せていなかった。
