もちろん、わかっている。
セドリックは黙って目を伏せ、頷いた。
彼の反応を確認して、国王は執務机に両肘をつく。
顔の前で組み合わせた両手の指の向こうから、セドリックを上目遣いに見据えてくる。
「ニールからの報告にもあったが、これ以上立太子宣明の儀の延期が続くようなら、国政にも影響が出る。パーティーから一ヵ月が過ぎても祝言の触れがないようでは、招待した姫君たちの国で不信感が広がる。パーティーにかこつけて、フレイア王国が諜報活動に及んだもの、とでも疑われるような事態になれば、我が国の中立国家としての立場が危うくなる」
国王はセドリックに、『近隣諸国から攻め込まれる要因になりかねない』と示唆しているのだ。
それは、決して大袈裟なことではない。
「……はい」
『お妃選び』と銘打ったパーティーで、その為に集まった姫君の中から、セドリックが妃を選ばなかった。
たったそれだけのこと、と片付けられるものではない。
他国の王家や、それに準ずる貴族の姫君ばかりを招待していたのだ。
万が一でも不信を買う事態になれば、国を巻き込む大問題だ。
ほんの少しでも調和に綻びが生じれば、それは戦のきっかけになる。
セドリックは黙って目を伏せ、頷いた。
彼の反応を確認して、国王は執務机に両肘をつく。
顔の前で組み合わせた両手の指の向こうから、セドリックを上目遣いに見据えてくる。
「ニールからの報告にもあったが、これ以上立太子宣明の儀の延期が続くようなら、国政にも影響が出る。パーティーから一ヵ月が過ぎても祝言の触れがないようでは、招待した姫君たちの国で不信感が広がる。パーティーにかこつけて、フレイア王国が諜報活動に及んだもの、とでも疑われるような事態になれば、我が国の中立国家としての立場が危うくなる」
国王はセドリックに、『近隣諸国から攻め込まれる要因になりかねない』と示唆しているのだ。
それは、決して大袈裟なことではない。
「……はい」
『お妃選び』と銘打ったパーティーで、その為に集まった姫君の中から、セドリックが妃を選ばなかった。
たったそれだけのこと、と片付けられるものではない。
他国の王家や、それに準ずる貴族の姫君ばかりを招待していたのだ。
万が一でも不信を買う事態になれば、国を巻き込む大問題だ。
ほんの少しでも調和に綻びが生じれば、それは戦のきっかけになる。
