セドリックが国王の公務室を訪れた時、そのそばには、騎士団長であるアシュレー侯爵とニールが控えていた。
セドリックに気付いた騎士団長が、即座に背筋を伸ばし、敬礼する。
国王はニールの報告を聞いた後、書面にサインを入れていたのだろう。
机には封に使う蝋と、王家の刻印が置かれていた。
国王はドア口に立ったセドリックを見止めると、ニールに羽ペンを手渡した。
空いた手を翳して、セドリックに「こっちに来い」と命じる。
命令のまま、セドリックは無言でキビキビと歩を進めた。
執務机の前で両足を揃えてピタリと止まると、国王は騎士団長とニールに人払いを命じた。
騎士団長は静かに黙礼すると、セドリックに頭を下げてから公務室を出て行った。
ニールも国王に一礼して、その場を去る。
視界の端に映った二人の背が見えなくなると、セドリックは大きく胸に息を吸い込んだ。
広い公務室で、国王とセドリックは二人きりになる。
セドリックはゆっくり目線を上げた。
「……父上」
「なんの話かはわかっているだろう? セドリック。お前の妃のことだ」
セドリックに気付いた騎士団長が、即座に背筋を伸ばし、敬礼する。
国王はニールの報告を聞いた後、書面にサインを入れていたのだろう。
机には封に使う蝋と、王家の刻印が置かれていた。
国王はドア口に立ったセドリックを見止めると、ニールに羽ペンを手渡した。
空いた手を翳して、セドリックに「こっちに来い」と命じる。
命令のまま、セドリックは無言でキビキビと歩を進めた。
執務机の前で両足を揃えてピタリと止まると、国王は騎士団長とニールに人払いを命じた。
騎士団長は静かに黙礼すると、セドリックに頭を下げてから公務室を出て行った。
ニールも国王に一礼して、その場を去る。
視界の端に映った二人の背が見えなくなると、セドリックは大きく胸に息を吸い込んだ。
広い公務室で、国王とセドリックは二人きりになる。
セドリックはゆっくり目線を上げた。
「……父上」
「なんの話かはわかっているだろう? セドリック。お前の妃のことだ」
