碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

「対外的な立太子の宣明の意味合いもあるんだ。もちろん、パーティーには俺たち騎士団も護衛として出席することになる。ああ、アデル。王太子軍騎士を狙ってるなら、お前も当日護衛として参加するか?」


アデルが剣に触れているのを横目で見遣り、ライアンは顎を摩りながら彼女に訊ねた。
それを聞いて、セドリックがクスッと魅惑的に微笑む。


「王国初の女性騎士候補に守られるってのも、なかなかレアでいいけど……」


どこか意地悪に目を細めると、セドリックはいきなりアデルの髪に触れた。
突然自分の方に伸ばされたその手に、アデルはほとんど条件反射で身体を強張らせる。


次の瞬間、セドリックは彼女の髪を纏めていたリボンをスッと解いた。
綺麗に束ねられていた髪が肩に降り、アデルの背中半分までを覆い隠す。
驚いてエメラルド色の目を丸くするアデルを、セドリックは背を屈めて覗き込んだ。


「ちゃんと侯爵令嬢として着飾ってきてくれれば、お妃候補の中に紛れ込んでくれても構わないよ」


至近距離から蒼く煌めく瞳に射竦められ、アデルの胸の鼓動がドクンと大きく跳ね上がる。
不覚にも頬がサッと赤くなるのを観察され、アデルは慌ててセドリックを突き飛ばした。
しかし彼はアデルの行動を読み切っていて、『おっと』と言っただけでよろけすらしなかった。