碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

アデルはそれを見逃さず、素早く剣を横に払う。


「っ……!」


セドリックが息をのんだ瞬間、キーンと空気を切り裂くような音を立てて、彼の剣が弾き飛ばされた。
セドリックは大きく目を見開き、地面に落ちた剣が土埃を立てるのを振り返って見ていた。


自分の勝ちを確認して、アデルは居構えを解く。
剣を鞘に収めると、黙ってセドリックに一礼した。


ゆっくり顔を上げると、セドリックは悔しげに唇を噛み、顔を歪ませている。
そんな彼に、ライアンが静かに歩み寄った。


「どうした? セディ。お前らしくなく、随分乱れた剣筋だったな」


ライアンにそう声をかけられたセドリックは、眉を寄せ、浮かない表情で目を伏せる。
口をすぼめてふうっと息を吐きながら額の汗を手の甲で拭うセドリックに、アデルはそっと近寄った。


「お兄様の言う通りよ。セディ、今日全然精神統一できてなかった」


アデルの言葉に、セドリックは目を逸らしながら自嘲気味に微笑んだ。


「……あーあ。ライアンにもアデルにも見抜かれてる」


そう言って地面に落ちた剣を拾い上げてから、力が抜けたようにその場に座り込んだ。


「セディ」


彼に駆け寄るライアンとアデルの声が被る。
二人に囲まれたセディが、金色の髪を掻き上げながら辛そうに顔を歪めた。