碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

「アデル。何考えてるの? 余所見とか……余裕だね」


皮肉めいたセドリックの言葉に、アデルはハッとして剣を握り直した。


「行くよ、アデル」


短い一言を皮切りにして、セドリックが一気に踏み込んでくる。
頭上高くに振り上げられたロングソードの攻撃を、アデルは剣を横に構えて寸でのところでかわした。


剣と剣が、ガキンと重い音を立てて交わる。
防いだとは言え、タイミングがずれたせいで衝撃を吸収し切れず、アデルの腕に強い痺れが走った。


「く、うっ……」


強く深く眉間に皺を刻み込んで耐えながら、アデルはすぐに居合を解き、一度大きく退きながらセドリックを観察した。


(セディ、やっぱり強い。……でも……)


アデルは早くも額に汗を滲ませながらも、セドリックが仕掛ける攻撃をすべて剣で弾いた。


(セディの強さは、こんなもんじゃない。いつもの力じゃない)


訓練場には、他の騎士たちの比にならないほど、激しく鋭い金属音が響き渡る。
俊敏性では誰にも負けない、アデルの疾風のような剣捌きにも、セドリックはまったく遅れることはない。
しかし……。


(やっぱり、違う……!)


セドリックに鋭い視線を向けたアデルは、それが何か瞬時に気付いた。


「隙ありっ……!!」


ほんのわずかではあるが、セドリックの心に乱れを感じた。
それが、彼の剣にブレとなって現れる。