碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

セドリックは大きな溜め息をついてから、ライアンに向かって返事をした。


「ライアン相手じゃ、一瞬たりとも気が抜けない。そうじゃなくて、がむしゃらに剣を振りたいと言うか」

「は?」

「スカッとして勝ちたいんだ。だから、アデルくらいが丁度いいかと」

「ちょっ、セディ、どういう意味!?」


セドリックの説明は、明らかにアデルの腕を舐め切った言い方だった。
さすがにアデルも憤慨して、セドリックに食ってかかる。


「あ、ごめん。アデルが弱いって言っるてんじゃなくてね」


セドリックも自分の失言に気付いて言い訳はしたが、それがまたアデルの心を逆撫でする。


「弱い!?」

「弱くない。強い強い、アデルは。……でも、確実に勝ちたいんだよね。今、無性に」

「う、受けて立ってやる!」


結局セドリックがどう言い方を変えても、アデルの心に油を注ぐ一方で、最後は爆発した彼女がその場で腰に携えた剣を抜いた。
それを見て、セドリックだけではなくライアンもギョッとする。


「アデル! こんな狭いとこで剣を振り回すな! セディも! せめて訓練場でやってくれ!」


慌てたライアンに止められ、アデルも渋々剣を鞘に収めた。
剣の手入れも途中で、三人揃って中庭の訓練場に向かった。