碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

そんな想いを無理矢理押しやり、アデルはドア口で立ち尽くしているセドリックに歩み寄った。


「王太子殿下自ら武器庫にまで来るなんて、どうしたの?」

「別に。たまにはいいだろ。……あのさ、アデル。今時間あったら、相手してくれないかな」

「え?」


セドリックの申し出に、アデルは戸惑って何度か瞬きをした。


剣の相手自体は珍しいことでもなんでもない。
そもそも、それはアデルの務めでもある。


しかし、セドリックは王太子としての公務の傍らで剣の稽古をしていて、いつも決まった時間に稽古ができない。
彼の時間がある時、訓練場を通りかかったついでに、声をかけてくるのが普通だった。


今のように、わざわざ武器庫にまで来て、アデルに手合わせを頼んだことなど、今までになかった。
だからセドリックの申し出は、アデルだけでなくライアンにとっても不思議だったのだろう。


「セディ。わざわざアデルを探してここに来たのか? なんだよ~。俺で良ければ、いつでも相手するぞ?」


アデルの背後から二人に近付き、ライアンが明るく声をかけた。
セドリックはライアンに曖昧な視線を向けてから、そっと肩を竦める。


「あー、うん……。ごめん。やっぱりアデルにお願いしたい」

「え?」


ライアンから声をかけられても自分に固執するセドリックに、アデルもドキッとしながら聞き返した。