碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

それから三週間が過ぎた爽やかな陽気の春の午後、ライアンと会話をしながら武器庫で剣の手入れをしていたアデルを、セドリックが訪ねてきた。


重い木のドアを押し開け、セドリックはドア口に佇み、庫内にサッと視線を走らせる。
セドリックが気付くより早く、アデルの方が彼の姿を目に留めた。


「セディ」


アデルが剣を床に置いて立ち上がると、セドリックの視線が彼女の方に導かれる。


「アデル。よかった。君を探してた」


セドリックはそこにアデルの姿を見止めると、ニコッと爽やかな笑みを浮かべた。
そんな笑顔に、アデルの胸はドキンと跳ね上がってしまう。


あれからだいぶ時間が経ったというのに、アデルはセドリックに微笑みかけられる時に起こる胸の反応に戸惑っていた。
自分では、無理もないと思う。
なんせアデルは、セドリックが自分に恋焦がれていることを、彼の口から聞いて知っているのだ。


彼が真剣に自分を探しているのはわかるから、黙っているのが後ろめたいという思いはある。
ライアンからも『セディに本当のことを話してやった方が』と言われた。
しかし、やはりアデルは、あの時の姫君が自分だとは言い出せなかった。


そう、だからこの『ドキッ』は、良心の呵責からくる胸の痛みだ、と自分に言い聞かせる。