碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

しかし、セドリックは彼女の瞳をジッと見つめたまま。


「あ、あの。セディ……」


アデルは視線を向ける方向にも迷い、セドリックから視界の焦点をずらしたまま、消え入るような声を漏らした。
セドリックも、「ごめん」と言いながらアデルの頬から手を離す。


「アデルの瞳の色。昨夜の姫君にそっくりだから。……つい」


セドリックは照れたようなはにかんだ笑みを浮かべながら、何の気もない様子でそう言った。
しかし、アデルの胸の鼓動は大きく飛び上がった音を立ててしまう。


「えっ!? わ、私っ……!?」

「うん。昨夜の捜索の時にも伝えただろ? 君と同じ深く高貴に輝くエメラルド色で……」


セドリックはそう言いながら、何かに気付いたかのように『あ』という形に口を開け、言葉を切った。
そして、口元に手を当てながら目線を横に流す。


「あの姫君が、君に似てるのか……?」

「……?」


セドリックがわざわざ言い換えた意味がよくわからず、アデルは眉をハの字に曲げて首を傾げた。
彼はアデルにフッと優しく微笑みかけると、「よっ」と掛け声をかけながら、勢いをつけて寝台から立ち上がった。


「なんでもないよ。アデル。今度疲れてない時に、剣の相手、頼むね」

「あ、セディ……」


アデルの呼びかけに軽く手を上げて応えてから、セドリックは振り返ることなく部屋から出て行った。