ライアンから稽古を止められたアデルは、まだ陽が高くなりきらない時間だというのに、騎士団宿舎の自室に戻ってきた。
黒いサーコートの下に装備していた重いチェインメイルを外し、床に無造作にドサッと落とす。
その途端に脱力して、寝台にうつ伏せで身を投げた。
横になってしまうと、昨夜からの疲労が全身隅々まで浸透していくようで、アデルは深く太い溜め息をついた。
ライアンに心配された通り、彼女は酷く疲れていた。
昨夜、広間を飛び出した後、誰にも見咎められず部屋に逃げ込みホッとしたのも束の間、セドリックが自分の捜索の為に騎士団に命令を下したことを耳にしたのだ。
彼はパーティーでもアデルの所在をライアンに訊ねてきたくらいだ。
ここで出ていかなければ、パーティーで会ったのが自分だと疑われてしまうんじゃないだろうか。
アデルはそう心配して、急いでドレスを脱ぎ化粧を落として、騎士の姿で捜索に合流した。
とは言え、アデルの方はセドリックと顔を合わせるのもビクビクしていた。
仮面越しとは言え、あんなに近くで顔を覗き込まれたすぐ後だ。
たとえ騎士の姿をしていても、顔を見たら気付かれてしまうかもしれない……。
しかし、それは完全なる杞憂に終わった。
彼の頭は姫君でいっぱいで、アデルに会っても、気付くどころか見向きもしなかったのだ。
黒いサーコートの下に装備していた重いチェインメイルを外し、床に無造作にドサッと落とす。
その途端に脱力して、寝台にうつ伏せで身を投げた。
横になってしまうと、昨夜からの疲労が全身隅々まで浸透していくようで、アデルは深く太い溜め息をついた。
ライアンに心配された通り、彼女は酷く疲れていた。
昨夜、広間を飛び出した後、誰にも見咎められず部屋に逃げ込みホッとしたのも束の間、セドリックが自分の捜索の為に騎士団に命令を下したことを耳にしたのだ。
彼はパーティーでもアデルの所在をライアンに訊ねてきたくらいだ。
ここで出ていかなければ、パーティーで会ったのが自分だと疑われてしまうんじゃないだろうか。
アデルはそう心配して、急いでドレスを脱ぎ化粧を落として、騎士の姿で捜索に合流した。
とは言え、アデルの方はセドリックと顔を合わせるのもビクビクしていた。
仮面越しとは言え、あんなに近くで顔を覗き込まれたすぐ後だ。
たとえ騎士の姿をしていても、顔を見たら気付かれてしまうかもしれない……。
しかし、それは完全なる杞憂に終わった。
彼の頭は姫君でいっぱいで、アデルに会っても、気付くどころか見向きもしなかったのだ。
