碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

セドリックが『へえ』と口角を上げるのを見て、アデルはギョッとしながら目を剥いた。


「アデルに縁談。……そりゃそうか。アデルももう十七歳だし、世間一般の貴族の中じゃあ、もうそろそろ売れ残りって言われても仕方ない年だ」


整った綺麗な顔立ちのセドリックが、どこか意地悪に表情を歪めるのを見て、アデルはカッと頬を紅潮させた。


「でも……アデルがドレスを着て大人しく部屋で刺繍なんかしていたら、体調が悪いのかと心配になるね」


『じゃなければ、嵐の前触れか』と、わざわざ皮肉たっぷりに付け加えてクスクス笑うセドリックに、アデルは怒りと恥ずかしさで身体を震わせながら、プイッと大きく顔を背けた。
その勢いで、彼女の美しいプラチナブロンドの髪がふわっと揺れ、セドリックの鼻先を掠める。


「お言葉ですけど。体調が悪くなくたって、やる時はやるわ。嫌いなだけで、できないわけじゃないんだから」


悔し紛れにそう言って、胸の前で腕組みをするアデルに、ライアンとセドリックは顔を見合わせて肩を竦める。
そして、セドリックが噴き出して笑った。


「くっくっくっ……じゃあアデル。もう年齢も年齢だし、もう少し意識して、花嫁修業に時間割いた方がいいよ。じゃないと、本当に嫁き遅れの侯爵令嬢って噂に……」