幼い頃から一緒に育ったのは、アデルも同じ。
少し年の離れたライアンとセドリックの仲間に入れてもらえないのを、昔から嫌がった。
それだけに止まらず、気付いたら女騎士見習いを志していたくらいのアデルだ。
そこには結局、セドリックのそばにいたいという『女』の気持ちがあったからだと、密かにライアンは踏んでいた。
しかし……。
「……実際に女として認められたら、複雑か……」
思わず心の声が漏れ、ライアンはそう呟いていた。
それはアデルには聞こえなかったのか、「は?」と刺々しい声色で聞き返される。
ライアンは慌てて首を横に振り、再び大きな溜め息を放った。
「とにかく。疲れていようがいまいが、今のお前は精神が乱れている。これは上官としての命令だ。今日はもう剣を握るな。部屋で休め」
ライアンはここぞとばかりに騎士としての立場をアデルに向け、彼女の手から剣を奪おうとした。
そこに。
「おはよう。ライアン。アデル」
訓練場を縦断する回廊から、欠伸交じりの声が聞こえてきた。
ライアンもアデルも、ハッとしながらその方向に目を向ける。
「……セディ」
なんてタイミングだ、と、ライアンは天を仰いだ。
明らかに朝寝坊した様子のセドリックに、アデルの表情が険しくなる。
少し年の離れたライアンとセドリックの仲間に入れてもらえないのを、昔から嫌がった。
それだけに止まらず、気付いたら女騎士見習いを志していたくらいのアデルだ。
そこには結局、セドリックのそばにいたいという『女』の気持ちがあったからだと、密かにライアンは踏んでいた。
しかし……。
「……実際に女として認められたら、複雑か……」
思わず心の声が漏れ、ライアンはそう呟いていた。
それはアデルには聞こえなかったのか、「は?」と刺々しい声色で聞き返される。
ライアンは慌てて首を横に振り、再び大きな溜め息を放った。
「とにかく。疲れていようがいまいが、今のお前は精神が乱れている。これは上官としての命令だ。今日はもう剣を握るな。部屋で休め」
ライアンはここぞとばかりに騎士としての立場をアデルに向け、彼女の手から剣を奪おうとした。
そこに。
「おはよう。ライアン。アデル」
訓練場を縦断する回廊から、欠伸交じりの声が聞こえてきた。
ライアンもアデルも、ハッとしながらその方向に目を向ける。
「……セディ」
なんてタイミングだ、と、ライアンは天を仰いだ。
明らかに朝寝坊した様子のセドリックに、アデルの表情が険しくなる。
