碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

王太子から咎められた騎士たちが、慌てたように『はっ』と敬礼するのが、アデルの視界の端にも映り込む。
そこにはライアンの姿もあり、彼一人がセドリックの逢瀬の相手がアデルだということに気付いていた。
彼は顎が外れそうなほどあんぐりと口を開け、抱き合う二人を見つめている。


ライアンの視線に気付いたセドリックが、フッと口角を上げて微笑む。


「ああ、ライアン。ちょうどいいところに。……騎士たちを引き上げさせてくれないか。こうも人目に晒されては、僕はゆっくり姫君を口説くこともできない」

「えっ!? 口説くって……セディ!?」


ライアンは、頭のてっぺんから漏れたような、ひっくり返った声をあげた。
しかし次の瞬間、ハッと我に返ったように、バルコニーに詰め寄る騎士たちに合図をする。
それを見て、騎士たちも狐につままれたような顔をしながら、広間に引き上げていった。


一人その場に残ったライアンは、混乱を隠せない様子でセドリックとアデルを見つめた。
ライアンだけでない。
セドリックに抱き締められている、アデル当人も完全に呆けてしまっている。


「セ、セディ。……そちらの姫君は……」


なんとか気を持ち直そうと訊ねるライアンに、セドリックはふふっといつもの調子で笑った。


「ライアン。先に戻って、国王陛下にご報告をお願いできないか? 僕はこちらの姫君に決めたよ」

「ええっ……?」