碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

「でも、ダメ。アデル、君は我が王国軍騎士団長、アシュレー侯爵の大事な一人娘じゃないか。騎士団長が嘆く」


目をキラキラさせて声を上擦らせたアデルに、セドリックは無慈悲なほどさらりと言いのけた。
それを聞いてムッとしながら口ごもるアデルに、ライアンは『やれやれ』とでも言いたげに溜め息をつく。


「そうそう。セディの言う通りだよ、アデル。俺も父上も、お前には剣を振って汗を掻くより、綺麗に着飾って、部屋で読書やら刺繍やらしてほしいと思っているんだから」

「そんなのズルいわ。私はそういうの性に合わないもの」


女性はこうあるものと決めつけるようなライアンの言葉に、アデルは不機嫌に唇を尖らせた。
それを聞いて、アデルの男勝りな性格をよく知っているライアンは、眉間に皺を寄せ何度か首を横に振る。
そして、お手上げとでも言いたげに、隣に並ぶセドリックに視線を向けた。


「なあ、セディ。お前からも言ってやってくれよ。……アデルのヤツ、この間も縁談から逃げて、父上を困らせてるんだ」

「ちょっ……お兄様っ!!」


ライアンはこそっと内緒話でもするように、ほとんど身長の変わらないセドリックに耳打ちする。
しかし、この距離ではアデルの耳にも入る。