碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

そんな彼女に、セドリックが不思議そうに目を丸めて小首を傾げた。
彼はわずかに苦笑して、自分のマントを肩から抜くと、それをアデルの方に差し出す。


「え? セディ……っ、王太子殿下?」


アデルは自分に差し出された緋色のマントをジッと見下ろし、一瞬いつもと同じように呼びかけながら、それを打ち消すように慌てて呼び直した。
幸いにもセドリックの方は彼女の呼びかけを気にした様子はなく、マントを持ったまま、更に一歩アデルとの距離を詰めてくる。


「風邪をひいてはいけない。どうか、これを」


続けて言われ、アデルも一瞬躊躇いながら、セドリックの手からマントを受け取った。


「ありがたくお借りします。ありがとうございます」


お礼を言って、アデルはマントを肩から羽織った。
ほんの一瞬前までセドリックが身に着けていたマントは、彼の体温も感じられてとても温かい。
散々夜風に当たり震えていたからこそ、その温かさにホッとする。


しかし、セドリックのマントからは、彼が愛用しているラベンダーの精油の香りがする。
マントを羽織っただけでセドリックに包み込まれている気分になり、アデルの頬は一瞬にして朱に染まった。


そんな彼女の反応を見守り、セドリックは口元に優雅に手を当て、クスッと笑う。