碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

(あ~お願いだから早く終わって。部屋に戻りたい。ドレスを脱ぎたい。って言うか、寒い!!)


心の中の呟きは、徐々に愚痴ばかりになっていく。
窓の向こうで楽し気にダンスを踊る、紳士淑女を視界の端に映しながら、アデルは無意識に頬を膨らませていた。


そもそも、このパーティーはいつ終わるのだろうか。
普段のセドリックの誕生パーティーならば、三時間もすればお開きになる。


しかし今夜は彼のお妃選びが真の趣旨だ。
これは、セドリックがどこかの姫君を見初めないと、終わらないのではないかという懸念が、アデルの胸に湧き上がる。


(ちょっと待って。まさか招待した姫君全員とダンスするまで終わらないとか言わないわよね。もうっ……勘弁してよ!!)


アデルは自分の思考にゾッとしながら、更に強く二の腕を擦り上げた。
広間を見ていると、寒さのせいでイライラが募ってしまいそうだ。
仕方なく広間に背を向け、バルコニーの柵に両肘を預けて凭れかかる。


「……はあ」


なぜだか泣きたくなって、アデルは声に出して溜め息をついた。
一度鼻をズッと啜ってから、彼女は着けっ放しだったライアンの仮面を顔から外した。
こんな物でも、着けていればいくらか温かいが、ちょっと鼻を擦りたい気分だった。