碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

「え、あの……」


セドリックにとっては、自身のお妃選びのパーティーに訪れた姫君に、理由もわからず拒否されたような感覚だった。
さすがに戸惑い、伸ばした手のやり場もなく宙で止めるしかない。


それを見て、ライアンがセドリックの視線をアデルから逸らそうとするかのように、彼の肩に手をかけた。


「セ、セディ! 姫君たちを放っておいちゃいけないじゃないか!」

「え?」


ライアンは上擦った声でそう言って、アデルとセドリックの間に身体を割り込ませた。


「今日お集まりの姫君たちは、お前からダンスに誘われるのを首を長~くしてお待ちなんだぞ。ほら、王太子としての務めだ。ちゃんとお相手して来い」


一際明るく声を張り上げ、セドリックの肩に置いた手に力を込めると、ライアンは力任せに王子の身体を回転させる。


「おい、ライア……」


セドリックが驚いて声をあげるのを聞きながら、ライアンはアデルを振り返り、『さっさと行け』とばかりに何度も顎でしゃくって見せた。
アデルも今度はしっかりドレスの裾を持ち上げ、急いでその場から駆け出した。


「あ、君っ……! ちょっと……!」


ライアンに強引にグイグイ押されながら、セドリックが顔だけで振り返って呼びかけている。
アデルは一度そちらを向いただけで、急いで二人から離れていった。