碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

アデルはすぐにぎこちない笑みを浮かべ、近付いてくるライアンに向かい合う。


「お兄様」

「なんだ? 今日はこのまま引き上げるのか?」


前髪を掻き上げながら、いつもと変わらない明るい笑顔を浮かべるライアンに、アデルは小さく首を横に振った。


「ううん。もう一振りお願いしようかと思ってたとこ」

「そっか。……じゃ、その前にちょっと話さないか?」

「? うん」


結局再び地面に腰を下ろすと、アデルの隣にライアンが座った。
すぼめた口でふうっと息をついてから、ライアンは懐から折り畳んだ紙片を取り出し、アデルに差し出してくる。


「これ。明日のパーティーでの警備配備図だ。お前、セディから入るように言われただろ? 頭の中、叩き込んでおけ」


受け取る途中からそう言われ、アデルの指先が微かにピクッと震えた。
しかしすぐに取り繕うように、「うん」と言いながら紙片を開く。


自分の持ち場と役割を確認するアデルの横顔をジッと見つめていたライアンが、どこか躊躇いがちに「なあ」と呼びかけてきた。
兄の呼びかけに、アデルも首を傾げて応じる。


そんな彼女に、ライアンは何度か口を開きは閉じ……と躊躇う様子を見せてから、思い切ったように大きく顔を上げた。
そして、一気に口にする。