碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

顔を両手で覆い隠す。
止まらない涙で頬を濡らし、アデルは必死に声を殺して泣いた。


アデルは騎士として、セドリックの役に立たない。
役目を果たせないどころか、守るべき主君に守られ、こんな大怪我を負わせてしまった。


それなのに、セドリックはアデルに居場所をくれる。
彼が生涯の妃を選ぶ大事なパーティーで、見守るという重要任務を与えてくれる。


ありがたい命令なのに、胸が張り裂けそうに痛い。
その痛みを必死に堪えながら――。


(どうしよう。私……)


泣きやめないまま、アデルは自分の気持ちにようやく気がついた。


(私、セディのこと……)


『好きだ』と気付いた瞬間、体幹から湧き上がってくる震えに、アデルは息を詰まらせた。
一度自覚してしまった恋心は、自分の中で噎せ返るほど強く大きく膨れ上がっていく。
アデルはがっくりとこうべを垂れ、セドリックの寝台の傍らで自分の身体を強く抱き締めた。


(どうしよう。こんな気持ちに気付いてしまったら……)


不甲斐ない自分に与えられた役目だとわかっていても、妃を選ぶセドリックを最後まで見守れない。
彼のそばで一生仕える騎士になれない。


アデルはもう、セドリックの騎士にすらなれない――。