碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

「怖い思いさせてごめん。でも……君に怪我がなくて、本当によかった……」


そう言いながら、セドリックはゆっくりと目を閉じていく。
思わず「セディ」と呼びかけてしまうアデルの前で、再び唇を開いたセドリックは、


「君を守れて、よかった」


それだけを、静かに続けた。


「っ……」


前触れもなく込み上げた涙が、頬を伝うことなく直接落ちていく。
セドリックの頬に、アデルの涙の雫がポツッと落ちた。


それを感じているのか、いないのか。
セドリックは目を閉じたまま、「ねえ」とアデルに呼びかける。


「アデル。頼みがあるんだ。聞いてもらってもいい?」

「な、何?」


痛み止めが効いてきているのだろう。
セドリックの声はどこか寝ぼけたような、虚ろなものに変わっていく。


「二週間後……僕の妃選びのパーティー……アデルに警護に就いてほしい……」

「……え?」


だんだん不明瞭になっていくセドリックの声を聞き取ろうと、アデルは彼の方に身を乗り出した。
そして、微かに動く彼の口元に耳を寄せる。


「パーティーには、君も……。僕が誰を選ぶか、最後まで見守って」


直接鼓膜を震わせたその言葉に、アデルの胸がドクンと嫌な音を立てて跳ね上がった。