碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

王妃に人払いを求めるセドリックに、アデルは一瞬ギョッとする。
しかし、王妃はふふっと口角を上げて笑うと、彼に言われるがままに立ち上がった。


「重傷の王太子の求めですから、どかないわけにはいきませんね」

「お、王妃様、あのっ……」


素直に応じる王妃にアデルの方が焦り、慌ててその場に立ち上がろうとした。
それを、王妃が軽く手で制する。


「ここはあなたに任せましょう、アデル。もしもセディに変化があるようだったら、すぐに報告を」


毅然とした王妃の命令にのまれ、アデルは「はい」と素直に返事をした。
そして、部屋から出て行く王妃の背に、立ち上がって敬礼する。


頭を下げている間に、ドアが閉まる音がした。
再びゆっくり顔を上げた時、室内は寝台に横たわるセドリックとその傍らのアデル、二人きりだった。


「アデル」


二人きりということを意識してドキッとするアデルに、セドリックが静かに呼びかける。
セドリックの声を聞いて、アデルは慌てて寝台の上の彼を見下ろした。


「心配しないでいいよ。僕はこの通り、ちゃんと生きてるから」


身体は動かせなくとも、セドリックはどこかおどけた口調で、いつもと変わらない笑みをアデルに向けた。