碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

「バカッ! 動いちゃダメ!!」


セドリックを短く鋭い言葉で制しながら、アデルは彼に手を貸し、その身体をそっと寝台に横たわらせた。


身体の痛みは、アデルの想像を絶するものなのだろう。
セドリックはいつものようにアデルをからかうこともなく、恐ろしいほど大人しく従う。


寝台に上体を戻したセドリックは、裸の上半身を白い包帯でグルグル巻きにされていた。
その痛々しい姿に、アデルは言葉に詰まりグッと唇を噛む。
崩れ込むようにベッドの傍らに膝をついた。


「ごめん……ごめんなさい、セディ……」


再び涙が込み上げてきてしまい、それだけ言うのがやっとだった。
アデルは両手で顔を隠し、嗚咽が漏れそうになるのを必死に堪え、肩を震わせる。


そんなアデルの腕を、セドリックがそっと掴んだ。
涙でぐしょぐしょの顔を見られることを気にせず顔から手を離すと、セドリックはわずかに顔を歪めながらアデルを見上げていた。


「君は? 本当に、どこも怪我してない?」


真剣な瞳で確認してくるセドリックに、アデルは必死に首を縦に振って応えた。
「そっか」とセドリックのホッとしたような声が、アデルの耳に届く。


セドリックは口元で安堵の息をついて、アデルの横の椅子に座っている王妃に目を向けた。


「母上、申し訳ありません。今はアデルと二人にしてもらえますか」