まるで呼吸するようにサラッと相槌を打つセドリックに、ライアンは声に怒気を含ませた。
喧嘩腰のライアンに、セドリックもピクリと眉尻を上げる。


「どういうって? 僕は他の騎士たちと同等に評価して、アデルを騎士として認めてるんだけど?」

「それがどういうつもりだって言ってるんだ」


悪びれずに返してくるセドリックへの憤りを抑えられず、ライアンは吐き捨てるように言った。
セドリックも黙ってライアンを上目遣いに見据える。


幼なじみのセドリックも、こんなに怒りを露わにするライアンを見ることは滅多にない。
セドリックが黙り込んだせいで、ライアンは苛立ちを必死に抑えようとして、前髪を乱暴に掻き上げた。


「……確かにアデルは、男勝りで怖いもの知らずで無鉄砲で。俺だってセディと同じように、アデルがドレス着て部屋でレース編みなんかしてたら寒気がする。国が滅ぶんじゃないかと心配になるからね。そのくらい女らしくない妹だと思ってるけどさ」


ライアンが唾が飛ぶ勢いで捲し立てるのを聞いて、セドリックは背を仰け反らせながら苦笑した。


「ライアン。僕はそこまで酷いことを言った記憶は……」

「そのアデルが!」