碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

「お母様、離して! こんな格好じゃパーティーで警護につけない。お、お父様!」


アデルは必死に顔を後ろに向けながら、上司でもある父に、騎士としての務めを理由に助けを求めた。


そう、アデルは先日ライアンから話を聞いてからずっと、今日のパーティーでは騎士団の一員として警護に就くつもりでいた。
母の手を解けぬほど動きにくいこのドレスでは、有事の際にも対応できない。
いや、そもそも、こんな格好で警護に当たる騎士がどこの世界にいると言うのか。


アデルにしてみれば、言ってることは至極当然で、騎士団長の父がこんな茶番を許すわけがないと思っていた。
だからもちろん、彼女の訴えを聞けば、父も母を止めてくれる。
そう思っていたのだが……。


「アデル。警護の任に就く必要はない。とにかく今日は、侯爵令嬢としての務めを果たすのだ」

「は?」


シレッと返された父の言葉に、アデルは何度も瞬いた。
あまりにも予想外の返事で、彼女は父が何を言ったのかまったく理解できない。


腕を引く母の力が弱まったのがわかっても、手を解くこともせず、アデルはその場でピタリと足を止めた。
そして、父の返事を待って、その場でそっと振り返る。