「お父様。お父様もお城に戻るのでしょう? 早くしないと……」
呑気な父に焦れたように声をかけてから、彼女は自室に戻ろうとする。
(あ~もうっ! こんなことなら、最初から騎士団の制服を着てくれば良かった……!)
時間に追われ、焦りでイライラしながら、アデルは侯爵令嬢らしからぬ大股で、ズンズンとサロンのドア口に向かった。
ところが、母がアデルの肘を引いて止める。
「大丈夫よ。パーティーにはちゃあんと間に合うから」
「えっ?」
足を止めたアデルは、訝しい思いで母を振り返った。
その後方では、父が腕組みをしてうんうんと頷いている。
「時間も馬車も心配ないから。お父様の準備が済むまで、ちょっとお茶でも飲みましょう」
母は大きく胸を張ってそう言うと、困惑しているアデルを引き摺るようにして歩き出した。
「えっ。ちょっ、お母様っ。私、そんな時間もう……」
母らしくない強引な力に、アデルは更に混乱する。
侯爵令嬢とはいえ、アデルは男性騎士にも負けない剣の腕を誇るのだ。
普段なら母に引き摺られて歩くような事態にはならないが、意味がわからない上、着慣れないドレスの裾を捌くのに精いっぱいで、母の手を振り解くこともできない。
呑気な父に焦れたように声をかけてから、彼女は自室に戻ろうとする。
(あ~もうっ! こんなことなら、最初から騎士団の制服を着てくれば良かった……!)
時間に追われ、焦りでイライラしながら、アデルは侯爵令嬢らしからぬ大股で、ズンズンとサロンのドア口に向かった。
ところが、母がアデルの肘を引いて止める。
「大丈夫よ。パーティーにはちゃあんと間に合うから」
「えっ?」
足を止めたアデルは、訝しい思いで母を振り返った。
その後方では、父が腕組みをしてうんうんと頷いている。
「時間も馬車も心配ないから。お父様の準備が済むまで、ちょっとお茶でも飲みましょう」
母は大きく胸を張ってそう言うと、困惑しているアデルを引き摺るようにして歩き出した。
「えっ。ちょっ、お母様っ。私、そんな時間もう……」
母らしくない強引な力に、アデルは更に混乱する。
侯爵令嬢とはいえ、アデルは男性騎士にも負けない剣の腕を誇るのだ。
普段なら母に引き摺られて歩くような事態にはならないが、意味がわからない上、着慣れないドレスの裾を捌くのに精いっぱいで、母の手を振り解くこともできない。
