無関心な彼に、ニールはつまらなそうに眉を寄せた。


国王から『見せてみろ』と言われ、ニールはセドリックを窺ったまま、手にしていた書状を差し出す。
ニールから受け取った書状に並ぶ名前を確認して、国王がゆっくり顔を上げた。


「近隣の第一・第二王女に絞ったのか」

「ええ。国王の指示にもあった通り、よりすぐった結果です。国交間に火種を残さない為にも、この選択が無難だという結論に達しました」


ニールの説明の途中で、国王は頷きながらその書状をセドリックに差し出していた。
促されて手に取りはしたが、セドリックはサッと視線を走らせただけで、そのままニールに返す。


「自分の妃候補だぞ。興味ないのか」


あまりに素っ気ないセドリックに、ニールの方が不満気に言った。
国王も隣に立つセドリックを咎めるような目を向ける。
二人から注視されて、セドリックは黙って肩を竦めた。


「それとも……セディ。もしこれ以外の姫君で希望があるのなら、枢密院で会議にかけて通してやってもいいぞ?」


ニールはニヤニヤしながら書状をクルクルと筒に巻いた。
その言葉を聞いて、セドリックはクスッと口角を上げて笑う。


「お心遣い、ありがとう。兄上。僕に希望はないから、これで十分ですよ」


セドリックのスマートな返しに、ニールはやはり眉を寄せる。
そして、これ見よがしな溜め息を放った。