碧眼の王太子は騎士団長の娘に恋い焦がれる

セドリックの言葉に、どう反応していいのかわからないのだろう。
アデルの口調は、ライアンにも気が無いように聞こえた。
セドリックも同じように感じたのだろう。
彼はどこか不満気に目を細める。


「へえ~?って。それだけ?」

「えっ!? あ、ああ……よ、良かったね……?」


返す反応がそれで正しいか確認するように語尾を上げるアデルに、セドリックは小さく吹き出した。


「うん。気が乗らなかったけど、行って良かった」

「そ、そっか」

「誕生パーティーの時といい……不思議と、アデルが休みの日に、僕は彼女に会えるみたいだ」


そう呟くセドリックに、アデルがグッと言葉に詰まるのがわかった。
それを見て堪りかねたライアンは、セドリックの方に身を乗り出す。


アデル本人の前で聞くのは憚られたが、セドリックの方から切り出してきた話題だ。
遠慮して聞かずにいる方が不自然だろう。


「セディ! 立ち入り過ぎかと思ってたけど、聞いていいなら聞かせてくれよ」


ライアンが張り上げた言葉に、アデルがビクッと身を縮ませる。
その反応を見ただけで、彼女がどんな返事をしたかは、ライアンにも想像できてしまった。
アデルはセドリックの求婚を断ったのだろう。


しかしそれにしては、セドリックは淡々としていて、むしろどこか楽しげだ。
ライアンは怪訝な気分で、向かい側の二人に交互に視線を走らせた。